接遇とおもてなしの心とは、どのような関係があるでしょうか。
『接』には「つなぐ」「もてなす」「近づく」「もてなす」の意味があります。
『遇』には「もてなす」「おもいがけなくあう」の意味があります。
「もてなす」という言葉は、日本では古くから使われていて、例えば更級日記でも「我が身よりも高うもてなし、かしづきてみむとこそ思ひつれ」と書かれています。
現代ではその意味を「心から歓迎する気持ちを込めて相手を丁重に扱う」とされていますが、同じ「おもてなしの心」でもサービス業のおもてなしと医療で必要なおもてなしでは違いがあります。
違いを見ていきましょう。
サービス業の接遇は、ホテルや航空会社のようなお客様の満足を目標にした接遇です。お客様に、より満足してもらうために行われる接遇と言えるでしょう。
一方、医療現場の接遇は、心配や不安、悩みを和らげることを目標にしています。
医療現場の場合、患者さんの多くは心配や不安を抱えているため、医療接遇ではこの不安に寄り添うように接することが重要です。
患者さんは医療行為に対する不安な気持ち、痛みを我慢している気持ち、将来の健康や口腔環境の悪化についての不安な気持ちなど、来院の段階ですでにネガティブな感情をもっている方が少なくないことを忘れてはいけません。
医療接遇が医療安全につながっていることを忘れずに取り組んでいきたいですね。